導入事例
化粧品、医薬品などの企業、
研究機関に導入。
株式会社 Kyoto Natural Factory
森林と清流の里、
京北の自然素材を有効活用。
抽出法にもこだわりを続け、
上質なアロマを開発。
北産のヒノキやユズを原料に使用、地元の資源を有効活用するだけでなく、香り豊かなオイルを採るために、原料の加工や抽出法の研究を重ねながら高品質を実現しました。
他社の現場にもお連れして
開発をフォロー。
「京都の自然と共生し、ナチュラル素材をベースにまごころ込めた京都発のオンリーワン製品を開発する」をモットーに、オリジナルブランドの化粧品、食品、雑貨などの製造、卸販売をはじめ海外ブランドの輸入・販売まで手がける(株)Kyoto Natural Factory。同社は地元の自然素材を使った商品を数多く揃えていますが、その中でロングセラー商品となっているのがヒノキとユズのアロマ(オイル&ウォーター)です。この開発、製造に本村製作所のアロマ減圧水蒸気蒸留装置が貢献しています。
(株)Kyoto Natural Factoryは地元のヒノキ、ユズを使ったアロマオイルを開発するために、本装置を2011年に導入。しかし、当初は思うように抽出できない時期がありました。開発を担当する林氏はその当時をこう振り返ります。「はじめて装置を見たときは、しっかり作られており、完成度が高いという印象を持ちました。最初にヒノキの枝や葉を使って抽出を行ったのですが、期待どおりにいかなかったのは意外でした」。この報告を受けて当社は、すでに装置を導入して抽出に成功している他のお客様に、林氏をお連れして抽出現場をご覧いただきました。「わざわざ見学に連れて行ってもらったことが大変ヒントになりました」と林氏。装置に問題はなく、原料や加工法に工夫が必要だと分かりました。
研究と改善を重ね、
上質なオイル抽出に成功。
その後、林氏はチッパー(木材を粉砕してチップ状にする機械)を導入して原料の加工にこだわるなど試行錯誤を重ねました。たとえばチップ加工では、あまり細かに砕くと装置の管が目詰まりするから粗く砕いたほうが抽出しやすい、カゴいっぱいに原料を詰め込むよりもほどよい量の方が蒸気の抜けを邪魔しないので採れやすい…などの発見を改善に活かしながら取り組みました。 また原料にもこだわりました。林氏によると部位だけでなく、産地や樹齢によってもオイルの特徴が異なるとのこと。「俗に赤身と呼ばれ、木で一番良い部分である心材から採ったオイルはツンとしたヒノキ特有の刺激臭がほとんどありません。濃厚ですが落ち着いた深い香りがします」と語ります。 さらに樹齢が高いと油分が多いと実感しているといいます。ただ心材といった良い部位は木材の価格が高い時代ではアロマの原料に気軽に使えなかった、その意味ではジレンマを感じることもあると林氏は述べます。こうして林氏の熱心な研究とこだわりによって、今では品質も取れ高も安定して生産できています。
ワンオペレーションなので、
メンテナンスが楽なのは大きい。
一方、ユズも京都の水尾というユズ発祥の地で収穫されたものを使っています。ジュース用などに絞ったユズの残渣を有効に活用。残渣を砕いて水を加えて撹拌しペースト状に加工したものを煮出して抽出しています。煮ることで焦げつきや泡が発生することが起こるので、水と原料のバランスを探りながら最適な量を見つけていきました。ここでも試行錯誤です。 「抽出する場所は京北地域にあり、冬はとても寒く、マイナス15℃くらいにもなる時があり大変です。ユズの抽出は11月後半から1月にかけて行います。1回の抽出はわずか30分ほどですが、掃除をしている間に窯がすぐに冷えてしまうので立ち上がりに時間がかかる。そういう時間も入れると1回に1時間半かかりますね」と気候の影響で苦労すると言います。
ヒノキもユズも抽出は林氏が1人で行っています。装置の使い勝手について尋ねると次のように話します。「一番良いのはさびないこと。1人でのオペレーションでは洗浄などメンテンナスも自分でやらなくてはいけないが、楽なので助かるし、さび対策の手間がないのはありがたい」。 Kyoto Natural Factoryで稼働しているアロマ減圧水蒸気蒸留装置は2011年から使って頂いていますが、7年もの稼働を感じさせないほどに装置はいつもきれいに輝いています。林氏によると、ていねいに仕事をすることを心がけているから機械もていねいに扱っていると話してくれました。 アロマに限らず、今後も木材の研究にこだわりながら、新たな商品開発をめざしていきたいと抱負を語る林氏、どんな商品が生まれるのか楽しみです。