【導入事例】美濃与食品株式会社

導入事例

化粧品、医薬品などの企業、
研究機関に導入。

美濃与食品株式会社

菓子から調味料、食品加工まで
幅広い活用が可能な
新しい原料開発をめざす。

京都の和菓子メーカー中心に原料の提供やOEMを担ってきた食品企業が新しいチャレンジをスタート。食のモバイル化をテーマにアロマ抽出を切り口として汎用性の広い原料開発に取り組んでいます。



オールステンレス、コンパクト、
使いやすさを評価。

これは将来に向けた新しいチャレンジ、お客さまに新しい価値を提供することができる”そう語るのは美濃与食品株式会社の代表を務める長瀬裕一氏。同社は主にあんこなど和菓子の原材料の製造や菓子のOEMを手がけています。また、『「京滋 摂食・嚥下を考える会」が作る和菓子づくり』という福祉に寄与する活動にも取り組んでいます。長瀬氏が語るチャレンジとは、菓子だけに限らず食品、調味料にも活用できる新しい原材料、製品の開発。そのツールとして選ばれたのが本村製作所のアロマ減圧水蒸気蒸留装置です。昨今、日本の国内産業は人口減にともない縮小傾向がみられますが、菓子業界も例外ではありません。長瀬氏は次の手を模索していました。
京都の和菓子メーカーと共同で「食べやすい京菓子」を開発。


   

「その時に注目したのが<食のモバイル化>というキーワードでした。たとえば米は米粉になることでパンやパスタの原料として活用されるように一つの原料が多様な広がりを生み出し、新しい価値を作ることができます」と長瀬氏。こうして美濃与食品流の<食のモバイル化>というチャレンジが始まりました。 そこになぜアロマ減圧水蒸気蒸留装置が選ばれたのか、その理由を竹内 修氏(タケウチフーズラボ代表)が語ります。竹内氏はかつて長瀬氏と同じ酒造メーカーで仕事をしていた仲間でした。再会がきっかけとなり、竹内氏が新しい原材料の開発担当として再び一緒に取り組むことになりました。
導入された装置は初期バージョンと比べて様々な改良がプラス。


 

「当初からアロマに注目し、研究開発のツール探しから始めました。いくつか装置を検討しましたが、オールステンレス、コンパクト、使いやすさが揃っていたのは本村製作所の装置だけでした。酒造メーカー時代から本村製作所のステンレス製タンクはよく知っており、その製作物の品質は信頼していました」と竹内氏は語ります。
多くの機械がある工場でもコンパクトなので場所を取らず置ける。


山椒など香味料からも抽出、
ウォーターにも期待。

導入前に本村製作所でテストを行いました。採油に使ったのはレモンと黄金柑の2種類のかんきつ類です。「酒造メーカー時代に酎ハイの開発に携わっていましたので、果皮の部分からオイルが採れるのは知っていました。テストでは全果からの抽出でどのような結果が出るのか興味がありました。抽出量は果皮よりも少ないですが品質的にはよいものが採れました。皮だけでなく全部を有効に使いたいと考えていたので満足いく結果でした」と竹内氏は語り、想像どおりコンパクトで使いやすい点が印象的だったとのことです。
原料としてよく使われている黄金柑。


そして若干のカスタマイズを施し、2017年の夏に装置を導入、原料の研究開発を本格的にスタートさせました。開発の企画などは竹内氏が担当し、抽出されたサンプルを持って長瀬氏が顧客と商談を行います。 テストに使うのは主にかんきつ類、抽出率が良いので相性が良いそうです。ユニークなのは山椒、シソ、梅と言った香味料です。竹内氏にテストの反応を尋ねると「オイルだけなく、アロマウォーターに可能性を感じます。ウォーターは使い勝手が良いので幅広い活用が期待できます」と話してくれました。さらにトマトも抽出したところ、濃縮度の高いアロマウォーターが採れたということです。
山椒(左)、梅(右)。


抽出のテスト依頼も増え、
新しいサービスに。

顧客の反応について長瀬氏は「菓子メーカーだけでなく、調味料、加工食品、アロマグッズなど幅広い業種にアプローチしています。京菓子の組合でプレゼンテーションを行ったのですが高い関心を持っていただきました。」と話します。 面白いのは顧客からもアイデアやアドバイスが出てくること。あんこに混ぜるとあんこがよく伸びるとか、トマトはこう処理した方がいい、冷した状態より熱したほうが風味の伸びがよい、スープに使えるかもなど貴重な声を色々といただいているそうです。そうした声も開発に活かしています。また、顧客からの抽出テスト(有料)の依頼も増えてきており、テスト自体が新サービスとして育っているという副次的なメリットも起こっています。
少量多品種に対応できる柔軟な製造体制は同社の強み。


美濃与食品のように、本装置が食のモバイル化を実現する新しい原料の開発だけでなく、差別化や顧客化を図る営業ツールとして、あるいは新しいサービスにつながるツールとして活用されるのは本村製作所としても新鮮でうれしい驚きを感じます。今後の展開がとても楽しみです。
竹内氏(左)と長瀬氏(右)、二人三脚で新しい挑戦に取り組む。